【解説】産業用ロボットの種類や用途は?導入のメリットや検討ポイント、助力装置との比較も紹介します!
産業用ロボットとは
産業用ロボットの種類と特徴
①垂直多関節ロボット
②水平多関節ロボット(スカラロボット)
③直角座標ロボット(ガントリーロボット)
④パラレルリンクロボット
用途と活用例
①溶接ロボット
②組立ロボット
③搬送ロボット
④塗装ロボット
⑤検査ロボット
産業用ロボット導入のメリット・デメリット
導入の4つのメリット
①省人化できる
②生産性・効率アップ
③安定した品質の維持
④コスト削減
導入の5つのデメリット
①初期費用が高額
②不具合での損失
③操作や検査には資格が必要
④誤操作によるケガのリスク
⑤設置スペースの確保
導入前に確認!3つのポイント
①導入費用と効果が見合うか確認
②不具合が起きた場合の対応
③技術者(操作や管理)の確保
産業用ロボットの操作に必要な資格は?
操作に必要な「特別教育」とは
特別教育の内容は?
ロボットに動作を記憶させる「教示」
修理・調整の作業担当なら「検査」
特別教育はどこで受講できる?
資格がいらない産業用ロボットもある
産業用ロボットの安全基準
◆労働安全衛生規則第150条の4
◆ISO10218(JIS B 8433)
安全対策の一部緩和
荷役助力装置のメリット
①130kgまで吊り上げ可能!電空バランサーまじかるくん
②電気の使用が制限される場所で活躍!エアホイスト
③最大300kgまで搬送可能!サーボバランサー
こんなときには助力装置を
性別・年齢関係なく働くために
人にしかできない作業に
イレギュラーな対応に
ロボットの代わりとして期待
まとめ
「人手不足を解消したい」
「もっと生産性を上げたい」
あなたの会社でもこんな悩みをお持ちではありませんか?
そろそろロボットを導入して自動化したいけど
「産業用ロボットってどんな種類があるの?」
「ロボットを導入でどんなメリットがある?」
という方に、今回は産業用ロボットの
- 種類や用途
- 導入のメリット・デメリット
導入しようか迷ってると言う方には
- 導入前に確認する3つのポイント
- 操作に必要な資格
産業用ロボットとは
産業用ロボットとは、人の代わりに工場などで組み立て作業などを行う 機械装置のこと。
日本工業規格(JIS)では「自動制御され、再プログラム可能で、 多目的なマニピュレータであり、3軸以上でプログラム可能で、1か所に固定して又は移動機能をもって、 産業自動化の用途に用いられるロボット」と定義されています。 (参考:JIS B 0134 定義1130(ISO 8373)/ 日本標準産業調査会)
産業用ロボットのマニピュレータとは、ロボット本体のアームの部分。
人の手や腕の代わりに作業する機構を指します。
基本構成は
- 可動軸(関節)とアームを備えたロボット本体(マニピュレータ)
- 制御ボックス
- プログラムなどの操作・調整に使われるティーチングペンダント
の3つで1セットです。
産業用ロボットの種類と特徴
いろいろな現場で使われている産業用ロボットですが
「どのタイプのロボットが自社に合うのかよくわからない」
ってこともありますよね。
産業用ロボットは形状ごとに大きく4つに分類されます。
①垂直多関節ロボット
現在もっとも活用されている産業用ロボット。
通常4つ以上の軸を持ち、ロボットアームとも呼ばれます。
特徴
- 動きの自由度が高い
- 人間の手に近い動きを実現できる
- こまかい作業が得意
- 軸数が多いものほど制御がむずかしい
- 作業範囲に対して設置面積が小さい
いろいろな作業に使用され
- 組立
- 搬送
- 検査など
多くの現場で使われています。
②水平多関節ロボット(スカラロボット)
先端を含む
- 水平方向に3つ
- 垂直方向に1つ
計4つの軸があるものが一般的。
特徴
- 平面的な動きが得意
- 垂直(縦)方向に対する可動性は低い
- 水平(横)方向に対しては柔軟に稼働
- 物を高速で移動させたり、押し込んだりする作業が得意
- 複雑な動きはできないが、制御が容易
主に組立などの作業に使われています。
③直角座標ロボット(ガントリーロボット)
直角座標ロボットは2軸以上の直行する軸によって構成されます。
特徴
- 価格が比較的安い
- シンプルな作りで剛性が高く、操作がカンタン
- ほかのロボットとの併用がしやすい
- 複雑な動きはできない
- 設置に必要な専有面積が広い
特に平面上の位置決め精度が高く、主に
- 部品の組立
- 運搬
- 検査など
の作業を行います。
④パラレルリンクロボット
パラレルリンクロボットは最終的にコントロールしたい1点に対して複数のリンク機構で制御するロボット。
一般的に3本のアームで先端部の位置を制御する方式が多いです。
特徴
- 剛性が高い
- 動作の精度が高い
- 狭い範囲で高速に動ける
- 制御が難しい場合が多い
ベルトコンベアで流れてくる
- 食品の整列・選定
- 製品のピッキングなど
に利用されます。
用途と活用例
産業用ロボットは、使い方や組み合わせ次第でいろいろな作業工程に使えます。
①溶接ロボット
溶接作業は、工場の中でも過酷な環境で行われることが多い作業の一つ。
そのためロボットへの置き換えが効果的です。
労働者の
- 作業環境の改善
- 品質の安定
- コスト削減
も見込めます。
②組立ロボット
製造業のあらゆる場面で必要な組立作業。
組立ロボットは多くの産業で使われています。
1台のロボットでは難しい作業でも
- 複数の垂直多関節ロボット
- 水平多関節ロボット
を組み合わせることで用途が広がります。
③搬送ロボット
作業から次の作業に対して部品を運ぶ搬送ロボット。
スピーディで正確に部品を運んで行きます。
搬送ロボットには
- 水平多関節ロボット
- 直角座標ロボット
が使われることが多いです。
ただし、ライン間を搬送する場合は
- 複数軸をもたず
- 人と稼働範囲が共有できる
協働ロボットが使われている例も多いです。
④塗装ロボット
人体に有害になる可能性がある塗料を広範囲に吹き付ける塗装作業。
溶接とならび過酷な作業の一つです。
塗装ロボットの多くは垂直多関節ロボット。
精度の高い位置決めができるロボットと組み合わせることで
- ムラなく
- 適度な厚みに
吹き付けて行くことができます。
⑤検査ロボット
製品の最終確認も大事な工程の一つ。
- 垂直多関節ロボットの先端にカメラを取り付け、目視検査をする
- 水平多関節ロボットで位置決めし通電検査をする
といった活用例があります。
産業用ロボット導入のメリット・デメリット
産業用ロボット導入のメリットとデメリットを確認しましょう。
導入の4つのメリット
導入による大きなメリットは4つあります。
①省人化できる
産業用ロボット導入で自動化すると
- 人を配置する必要がなくなる
- 人員を減らす
ことができます。
人手が不足している製造業において、省人化は大きなメリットになります。
②生産性・効率アップ
人の代わりに働く産業用ロボットは
- 24時間稼働が可能
- 危険な作業が出来る
ので
- 生産性の向上
- 作業効率のアップ
につながります。
③安定した品質の維持
人の手で作業する場合、人為的なミスが起きる可能性がゼロではありません。
しかし産業用ロボットを導入すれば
- ヒューマンエラーが無くなる
- 安定した品質の製品づくりが可能
になります。
④コスト削減
産業用ロボットの導入には、初期コストが多く発生します。
しかし
- 作業の生産性や効率がアップ
- 従業員の労働環境が改善
ができるので、長期的に見るとトータルでのコストの削減につながります。
導入の5つのデメリット
産業用ロボットの導入はメリットばかりではありません。
デメリットも確認しましょう。
①初期費用が高額
産業用ロボットの導入には多額の初期費用がかかります。
ロボット本体以外に
- ロボット関連装置(ロボットハンド、ロボット架台など)
- ロボット周辺設備(安全柵、ベルトコンベア、PLCなど)
- SIer(システムインテグレータ)費用(ロボット導入をサポートしてくれた会社に支払う料金)
などの費用がかかります。
また、ロボットの種類や大きさにより導入費用は変わります。
導入前にどのくらいの費用がかかるのか確認しましょう。
②不具合での損失
導入したロボットに不具合が起きると
- 生産ラインが止まる
- 生産が計画よりも遅れてしまう
といった可能性が。
その場合、大きな損失が生じるかもしれません。
設備トラブルが起きないためにも、日々の点検が大事です。
③操作や検査には資格が必要
産業用ロボットは一部のロボットを除き
- ロボットの動作プログラムを作るティーチング
- メンテナンスや修理を行う検査
を行う資格が必要です。
資格取得のためには「産業用ロボットの教示等の業務に係る特別教育」の受講が必須。
もし社内に資格を持っている人がいない場合は、ティーチングマンに外部委託することも可能です。
しかし、外部委託の場合、1日当たり20万〜30万円と多額のコストがかかってしまう場合もあります。
④誤操作によるケガのリスク
産業用ロボットの導入には事故の危険性も考えなくてはなりません。
- 作業者が誤って稼働範囲に侵入してしまった
- メンテナンス中に誤って運転を開始してしまった
といったことが起きた場合、ロボットと接触すれば大ケガにつながってしまいます。
事故防止の為にも、安全教育を行う必要があります。
⑤設置スペースの確保
製品によりますが、産業用ロボットは
- サイズが大きいため
- 作業スペースの確保
が必要になります。
導入前に確認!3つのポイント
産業用ロボットの導入を考えるなら、次の3つのポイントをしっかり検討しましょう。
①導入費用と効果が見合うか確認
産業用ロボットの導入には多額の初期費用がかかります。
ロボット本体費用以外に
- 付随する周辺機器
- 安全対策費
- ロボットを扱える技術者の育成
- 場合により外部委託費
が必要になります。
「せっかく産業用ロボットを導入したのにあまり効果がなかった」となれば、会社の損失に大きく関わるかもしれません。
設備投資費用と見合った効果があるのかどうかよく検討しましょう。
②不具合が起きた場合の対応
機械にトラブルはつきものです。
不具合が多ければ、人手による復旧が必要となり本当の意味での
- 無人化
- 効率化
につながりません。
トラブルや故障による
- 余計な経費の出費
- 生産ラインの停止
から損失につながる可能性があります。
事前に起こり得る不具合を想定し、対応を検討しておくとよいでしょう。
③技術者(操作や管理)の確保
産業用ロボットの操作には
- 正しい知識
- 有資格の技術者
が必要です。
労働安全衛生法では、産業用ロボットに関わる作業員に対し「産業用ロボットの教示等の業務に係る特別教育」の受講が義務付けられています。 (参照:労働安全衛生規則 第一編 第四章 安全衛生教育(第三十五条-第四十条の三)
まちがった知識や自己流で操作すると
- 機械の破損
- 人身事故
などを招く危険性があります。
導入前に
- 誰に資格を取得させるのか
- 特別教育の受講スケジュール
なども計画に入れておきましょう。
社員に有資格者がいない場合は外部委託となり
- メンテナンスや故障時
- 動作プログラミング
のたびに依頼し作業してもらう必要がありコストがかさみます。
産業用ロボットの操作に必要な資格は?
産業用ロボットの操作には特別教育の受講が必須です。
操作に必要な「特別教育」とは
産業用ロボットの操作には「産業用ロボットの教示等の業務に係る特別教育」の受講が義務付けられています。 (参照:労働安全衛生規則 第一編 第四章 安全衛生教育(第三十五条-第四十条の三)
直接的に産業用ロボットへ関わる作業員だけでなく、間接的に関わる作業員も、受講が必須です。
特別教育の内容は?
産業用ロボットの操作に求められる資格は
- 教示
- 検査
の2種類。
担当する作業によって必要な資格が異なります。 そのため業務に応じた特別教育を受講しなければなりません。
ロボットに動作を記憶させる「教示」
産業用ロボットの教示作業とは
- 新たにロボットを導入したとき
- 新製品をラインに流動させるとき
などに、ロボットに必要な動作を記憶させる作業のこと。
ロボットの近くで行うため非常に危険な作業です。
事故や怪我のリスクを最小限に抑えるため
- 安全に作業をおこなうための知識
- ロボットの制御方法
- プログラミング方法
などを学びます。
修理・調整の作業担当なら「検査」
検査の資格が求められる作業は、産業用ロボットの
- 修理
- 調整
といったメンテナンス業務。
基本的にはメンテナンス作業は機器を停止して行います。 場合によっては停止せずに稼働範囲外で作業することもあります。
特別教育では
- 産業用ロボットの検査に関する知識
- 関係法令
- 操作や検査方法
などを学びます。
特別教育はどこで受講できる?
資格を取得するための特別教育は
- 全国各地の労働基準協会連合
- 中央労働災害防止協会
で受けられます。
また、特別教育を行っているロボットメーカーもあります。
使用するロボットが決まっている場合はそのメーカーで受講するのもいいかもしれません。
資格がいらない産業用ロボットもある
産業用ロボットの中には資格が無くても使用できるロボットもあります。
労働安全衛生法の改正により、一定の条件を満たす場合ロボットと人が同じ作業域で働くことが可能になりました。
そこで、特別教育を受講してなくても使用可能な協働ロボットの開発が進みました。
一定の条件とは
- 駆動用原動機の定格出力が80W以下
- 固定シーケンス制御装置の情報に基づきマニプレータの一定の動作の単調な繰り返しを行う機械
- 構造等からみて労働者に危険が生じるおそれがないと労働省労働基準局長が認めた機械
と定められています。
(参考:労働安全衛生規則の一部を改正する省令の施行等について/厚生労働省)
産業用ロボットの安全基準
操作を誤るとケガや命にかかわるような大事故にもつながりかねない産業用ロボット。
安全性対策も気になりますよね。
産業用ロボットの安全基準は法律と規格で定められています。 ここでは代表的な2つを紹介します。
◆労働安全衛生規則第150条の4
産業用ロボットの運転中に
- 作業員がロボットと接触する場合
- 危険が発生する可能性がある場合
には安全柵や囲いを設けて危険を防止しなければならないことを定めています。
しかし
- ティーチング作業
- 修理・調整作業
といった作業でロボットを運転する必要がある場合は、安全柵や囲いで作業者とロボットを隔てる必要はありません。
(参照:産業用ロボットに係る労働安全衛生規則第150条の4の施行通達の一部改正について/厚生労働省)
◆ISO10218(JIS B 8433)
この規格には
- ロボットの設計や製造における安全性の保障
- ロボットに関する基本的な危険源や関連するリスクを低減するための要求事項
が記載されています。
(参照:ISO10218(JIS B 8433)/日本標準産業調査会)
安全対策の一部緩和
平成25年の労働安全衛生規則の一部改正 により、産業用ロボットの安全対策が一部緩和されました。
この規則改定で、一定の条件を満たして安全性が保たれていれば、ロボットと作業員を安全柵で分ける必要がないとされたんです。
これにより、ロボットと人が同じ作業域で働ける協働ロボットが開発されています。
「ロボットを安全柵で囲ってしまうと他の作業に支障が出てしまう」 「安全柵を設置するための予算やスペースがない」 という時は協働ロボットの導入を検討されてはいかがでしょうか。
荷役助力装置のメリット
先ほど紹介した協働ロボット。
便利ではあるものの
- 低価格のものは低重量しか扱えない
- 導入コストが高い
- 作業工程を協働ロボットのみで自動化するのは難しい
というデメリットもあります。
「重量物を扱いたい」
「協働ロボットの導入程費用をかけず、また現在の作業工程を大きく変更せずに作業負荷を軽減したい」
そんなときは助力装置がおすすめです。
操作がカンタンなものが多く、
現在の作業工程を大きく変えずに
- 安全性
- 作業効率
の改善が可能になります。
天井やジブクレーンからの吊り下げでスペースが確保しやすいというメリットも。
遠藤工業ではいろいろなタイプの荷役助力装置を販売しています。
①130kgまで吊り上げ可能!電空バランサーまじかるくん
電空バランサー まじかるくんはこちら▶▶
②電気の使用が制限される場所で活躍!エアホイスト
エアホイストはこちら▶▶
③最大300kgまで搬送可能!サーボバランサー
サーボバランサーはこちら▶▶
こんなときには助力装置を
ここからは実際に助力装置を検討しているリアルな声をまとめます!
同じようにお考えならぜひ一度問い合わせフォームからご相談ください。
性別・年齢関係なく働くために
30kg以内の部品を作業台へ置く作業がある。
女性が作業することが増えるなか、腰痛に苦しむ従業員が増加。
離職することもあり改善を計画している。
ただしロボットを導入できる人材がおらず助力装置について問い合わせた。
人にしかできない作業に
10種以上の異なる重量の鋳物の搬送の為にロボット導入も検討中。
ただ人手でしか対応できない部分に助力装置を使いたい。
イレギュラーな対応に
基本的にはロボットで搬送をおこなっている。
しかしNG品などは人力で搬送するため、助力装置で補助したい。
ロボットの代わりとして期待
ダンボールのデパレタイズ補助の為にロボットアームの導入を実施するも
ロボットでは完全自動化が難しく、新しく助力装置を検討。
まとめ
産業用ロボットの種類は
- 形状で分けると大きく4種類
- 組み合わせ次第
で様々な作業工程に活用できます。
産業用ロボット導入のメリットは
- 省人化
- 生産性・作業効率アップ
- 安定した品質の維持
- コスト削減
一方でデメリットは
- 初期費用が高額
- 誤作動による事故のリスク
などがあります。
導入前には
- 導入費用と効果が見合うかどうか
- 不具合への対応
- 技術者の教育スケジュール
をよく検討しましょう。
「産業用ロボットを導入したいけど、予算やスペースの問題で難しい」 という場合は協働ロボットや助力装置もおすすめです。