歯車の基礎知識◆名称から代表的な6種類の特徴・用途をわかりやすく紹介

- 「歯車について知りたい」
- 「歯車に色んな種類あるけどどう使い分ければいいのか分からない」
歯車についてこんな疑問をもつ人が増えているようです。
3Dプリンターでギア作ってる人に言いたい
— 木目イニ (@j_C6H10O5) November 3, 2024
設計面倒だけど平歯車じゃなくて山歯車を使えー
強度が跳ね上がります
連載コラム見ると遊星歯車を使うと背が高くなるのでそれだけは避けなければならないので平歯車を組み合わせたって言ってたんよな…
— あめちゃんmk.III (@ameotoko0033_) November 8, 2024
遊星歯車の利点とは…となった
そこで今回は
- 歯車についての基礎知識
- 歯車の種類についての解説
- 歯車の製造工程
- 歯車でよくあるトラブル
といったように歯車について詳しくご紹介!
この記事を読めば歯車についての理解が深まるはずです。
歯車とは?どんな特徴がある?

歯車とは、歯同士をかみ合わせることで動力を伝える部品です。
外周に歯の形状を持つ円盤状の部品で
- 歯の形
- 間隔(ピッチ)
を変えることで、回転の速さや力の強さを調整できます。
機械設計の中では、歯車を使った動力の伝達は最も基本的なものです。
身近なものでは
- 時計
- 自動車
- 電動工具
- コーヒーミル
- カメラの三脚
など幅広く使われています。
歯車各部の名称
歯車の各部の名称については以下の図のようになっています
代表的な歯車6種類を紹介
ここからは歯車の種類について紹介していきます。
一言に歯車といっても色んな種類があるんです。
1、平歯車(スパーギヤ)
平歯車は回転軸に対して歯が平行になった歯車です。
歯車と聞いて真っ先にイメージされる、一般的な形状のものです。
特徴としては
- 形状がシンプル
- 製造が容易
- 複雑な軸受がいらない
といったものです。
<主な用途>
歯車の中ではコストが低いため、家電や産業用ロボットなどあらゆる分野で使われています。
2、かさ歯車(ベベルギヤ)
外径がテーパー状の歯車です。
傘の形になっているのが名前の由来となります。
<主な用途>
縦軸からの力を横軸にするなど、軸方向を変えるために使われます。
コーヒーミルやハンドミキサーなどの手回し工具や電動工具、工作機械などに使われています。
3、はすば歯車(ヘリカルギヤ)、やまば歯車(ダブルヘリカルギヤ)
歯がななめにねじれている歯車です。
特徴としては
- 一度にかみ合う歯数が多くなるので噛み合いが滑らか
- 歯車の中では強度は高い
- 振動や騒音の発生を抑えられる
というもの。
はすば歯車は軸方向に力がかかるため軸受が別に必要という問題がありました。
ただ、この問題をねじれ方向が違うはすば歯車を重ねて解消したものがやまば歯車となります。
<主な用途>
高い強度から重い負荷に対して耐性があるため、産業用ロボットや自動車などで使われています。
4、内歯車(インターナルギヤ)
名前のように内径に歯がある歯車です。
外径に歯を持つもの同士だと回転が逆方向になるのに対して、内径と外径の組み合わせでは同一方向になります。
<主な用途>
内歯車は外部からの衝撃に強いため、ロボットや航空機の制御システムで使われています。
5、ラックアンドピニオン
ピニオンという小型の歯車とラックという板状の歯車を組み合わせたものです。
<主な用途>
回転する力を直線移動する力に変えるために使われます。
主な用途としては自動車におけるステアリングです。
6、ウォームギヤ
ねじ状の歯車とそれに合うはすば歯車の組み合わせです。
- 軸方向を90度変えて動力を伝達できる
- セルフロッキング性
といった特徴があります。
<主な用途>
高いトルク伝達能力やセルフロッキング特性があるので、ロボティクスや自動化の分野で用いられています。
歯車でよくあるトラブル3つ

代表的な歯車のトラブルについて紹介していきます。
どれも歯車の噛み合わせや組付けが不適切な場合は高い頻度で発生します。
トラブルその1、折損

折損とは歯車の歯が折れてしまうことです。
歯の根元からひび割れが始まり、次第に疲労が大きくなって折れてしまいます。
トラブルその2、摩耗

歯車の摩耗とは、歯と歯がかみ合うことで摩擦が発生して表面が削れてしまうことです。 これが繰り返されることによって摩耗が大きくなってしまいます。
トラブルその3、腐食
歯車はさまざまな環境で使用されるため、湿気や水分に見舞われることがあります。
この水分が原因で表面に錆びが発生し、強度が落ちてしまうことがあります。
錆びについてはこちらの記事で詳しく解説しています。
ステンレスとは?錆びの原因3つと対処法◆知っておきたい注意点も紹介
歯車はどうやって作られるか
歯車製造の工程は以下の順序になります。
工程1、旋盤加工
旋盤という切削工具を使って加工を行い、歯車の内径と外径を決めます。
旋盤についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
旋盤って?7種類の旋盤の特徴を徹底解説◆加工の流れから注意点、メリットデメリットまで
工程2、ホブ加工
ホブという歯車の歯を加工する際に用いる専用の歯切り工具を取り付けたホブ盤を回転させて加工を行います。
この工程で歯車の歯の部分を形成します。
工程3、焼入れ
高温にまで加熱した後に冷やすという工程です。
歯車の素材となっている鋼は高温から急冷することでより強度が上がり摩耗などにも強くなります。
工程4、研磨加工
歯車の歯すじを研磨して歯面の余計な凹凸を無くして滑らかにします。
歯形の形状やピッチの誤差を少なくして伝達率を向上させるという重要な工程となります。
研磨についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
事故を減らすには
歯車を製造する旋盤加工の現場では毎年痛ましい死亡事故が報告されています。
こういった事故を防ぐためにロボットを導入して自動化するという方法があるんです。
メリットとしては
- 人手不足の解消
- 現場作業員の負担の軽減
- 深夜でも機械を動かすことができるため生産性が向上する
といったもの。
反対にデメリットとしては
- ロボット本体だけでなく初期設定の手間などのコストが高くなってしまう
- 24時間稼働させるため維持管理に通常以上の費用がかかる
となっています。
協働ロボットについて詳しくはこちらの記事で解説してますのでぜひ確認してみてください。
作業の負担を減らすなら荷役助力装置
協働ロボットの投入には、安くはないコストがかかります。
- 「ロボットを導入するほどお金をかけられない」
- 「現場のオペレーションを変えたくない」
そんな時は荷役助力装置がオススメです。
協働ロボットと比較して
- 導入コストが抑えられる
- 作業工程が大きく変わらない
といったメリットがあります。
遠藤工業ではさまざまなタイプの荷役助力装置を販売しています。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
今回は
- 歯車の基礎知識
- 歯車の種類
- 歯車の製造工程
- 歯車でよくあるトラブル
について紹介してきました。
歯車はとても身近に使われている部品ですが、適切に使い分けないとトラブルの原因になることもあります。
この記事が、歯車への理解を深める手助けになれば幸いです。